「エロス」広瀬正

(結末を書いています、ご注意くださいませ)

大事に読んでいたのですが、読み終わってしまいました。
なんともややこしいお話。
現在、過去、それともうひとつの過去、みっつの時代がくるくるまわります。
緻密な計算のもとに描かれた物語、その緻密なあまりにワタシの頭では理解不能。
一度読んで、なんだかわからないところがあって、もう一度読みました。
過去ばかりをつなげて読んで、もうひとつの過去ばかりつなげて読んで、
最後に現在ばかりをつなげて読んでみて、ようやく頭の中が整理できました。
ああ、そういうことでしたか、、、ようやくラストの意味がわかりました。

現在のお話はこの本が書かれた頃の昭和46年。
ベテラン女性歌手橘百合子が37周年リサイタルを開くというところから始まります。
彼女がもし歌手になっていなかったら、という仮定をしてみましょう、、、という始まり。

そもそも彼女は昭和8年に岩手から上京してきました。
この辺り「薔薇とビスケット」と似ています、そういう少女が多かったという事でしょう。
その後、映画を観に行って事件が起こり、それが歌手になるきっかけとなりました。
そして、、、というのが過去のお話。

それでは、もし彼女が映画を観に行かなければどうなっていたでしょう?
というのが、もうひとつの過去のお話。

そして最後の最後に、ああ!そうなのかと気がつくのです。
この本の中で、「現在」として綴られていた物語は、
橘百合子が歌手となった「過去」の方とつながっていました。
そして、なんとそれは、“現実の「現在」”ではなかったのです。
ひゃあーややこし。
物語の最初からして実在ではないのですから、ウッカリしていられません。
もう何が何やら、、、まあ、どっちでもいいや。
ワタシの大好きな昭和8年から始まるこの昭和初期の物語が魅力なのですから。

話の本筋は別として、本書ではテレビやラジオなど機械ものと音楽について、
そして時代をおって世相と町や暮らしの様子が年表を見る様に描かれています。
さすが広瀬正ワールド、私たちをも昭和初期にタイムトリップさせてくれます。
「マイナス・ゼロ」ともつながっていてカシラ一家が出来てきたり、
広瀬正本人が今度は少し成長して学生として現れたり、などのお愉しみもありで、
ああウレシ、ああタノシ、と読んでいる時の私は夢見心地でした。

登場人物も皆々、リアルです。ああ、こういう人いるいる。
そしてどこか愛嬌があって、発せられる言葉の一つ一つに人間味が溢れます。
こういう緻密な話を、明るく楽しく読ませてくれる、広瀬正はステキな人。

団長さま、良き本をご紹介頂きありがとうございました!
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Commented by さきたか at 2013-09-29 14:36 x
 こんにちは。面白かったですか。わたしは話の方はほとんど忘れてしまってます。。
 今は半沢直樹。。
 ステーキ写真、腹減りますです。食べたい。
Commented by orochon3 at 2013-09-29 15:45
団長さま、いつもありがとうございます〜♪
同じ本を続けて何回も読んだのは初めてでした、読解力が低いせいですが、何回読んでも面白かったです。取り上げる題材がスバラシイですね。
ステーキ写真、実は一年以上前のもの、、、今度食べられるのはいつでせうか???
by orochon3 | 2013-08-27 09:07 | | Comments(2)