カテゴリ:戦後映画( 18 )

不死鳥

戦後間もない昭和22年の作品です。
(詳しい内容はこちらをどうぞ → 
木下惠介監督、田中絹代主演。相手役はこれがデビュウ作の佐田啓二。
我らが絹代チャンはこの時38歳ですがもう少しわかい設定です。
一人息子をもうけてご主人を戦争で亡くして、ご主人の弟の後添えにという話をけり、
ゆくゆくは息子と二人で独立したいと夢見ています。
ご主人の弟に結婚相手が見つかり、しみじみと昔を回想していきます。
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回想していくと、なんと女学生にヘーンシン、
セーラ姿の絹代チャン、仕草もまったく女学生でカワイイ。
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その絹代チャンの見つめる先にはこれも学生服の佐田啓二!
これからこの二人は恋仲になるのです、その出会いの通学電車であります。
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学校帰りに二人が偶然立ち寄る飛鳥書房という書店。ちょっと前まではこんなお店が
どこにでもあったように思いますが、最近は大型書店ばかりですね。
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佐田啓二が落として行った学生証を見つけて拾う絹代チャン。
これがご縁となりまして、二人の仲は深まっていきます。
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ドライブにテニスまでなさるのですよ。
それがまあなんともカワユイのです、ブリッ子ポーズ連発です。
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かるた会では見事な振り袖姿を見せてくれます。
札をとって得意顔の絹代チャンもかわいい!
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デートで着物姿でも髪の毛はモダンな雰囲気。
初々しいお嬢さんの雰囲気がよくでています。
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色々あって、とうとう佐田啓二は出征してしまいます。
最後のパーティで、精一杯のお洒落をして彼を見送る絹代チャン。
美しく堂々としていて、大げさな髪飾りなどものともしません。
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駅に見送りに来た時も、決して時勢にのらずに美しく気高いままの姿なのが、
お嬢さまらしくてかえって清々しいくらい。
佐田啓二のご両親にはまだ反対されたままなので、陰ながらそっと見送る姿に
涙をさそわれます、、、ヨヨ。

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この他にも絹代チャンは軽めのドレスやロングドレス、
ハイキングの洋装に野良仕事姿やスラックス姿にもなり、
いったいどれくらい着替えたの?とまったく驚いて観ていました。
そして、私のいちばんのツボはこの足下のアップが続く場面です。
なんとちいさい!
かの高峰秀子さんの名著の中で、絹代さんがまだ少女の頃の秀子さんを鎌倉のお家に
招待し、自分の着物や服を秀子さんに着せて「似合う、似合う」と喜び、
どんどんくださった、という箇所があります。
その後秀子さんは大きくなってしまって絹代さんのものが小さくなってしまい、
困り果ててついに、櫛をくださったというくだりもありました。
秀子さんも大柄ではないのに、その少女の頃のものがちょうどだったというくらい、
絹代さんは何もかもがちいさい!のですね、肩を見てもわかります、ちいさい!
その足下を見ても、本当にちいさい!
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ふと、絹代チャンの雰囲気がブリッ子松田聖子チャンに見える時がありまして、、、
あ、この系統なのか!
デビューの頃の聖子チャンは絹代チャンに似ているような気がします。
なんでも一緒くたにすると乱暴だと叱られるかもしれませんが、
どことなく同じ雰囲気があるような気がしませんか、あどけなくかわいらしいけど、
実際はとんでもなく強い女性なのです、二人とも。
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この映画に限らず、田中絹代というひとは映画の中で様々な役柄を演じて、
いろんな姿をみせてくれました。女医や弁護士になったり売春婦になったり。
そういえば、聖子チャンもいろんなファッションでファンを喜ばせてくれました。
 スクリーンにやまとなでしこ七変化 ファン心理は時代をこえる

昭和22年/松竹(大船撮影所)/監督・木下恵介/原作・川頭義郎

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by orochon3 | 2017-02-16 14:15 | 戦後映画 | Comments(2)

ある映画監督の生涯 溝口健二の記録

新藤兼人監督の作った、故溝口健二を追うドキュメンタリー映画。
1975年の作品、わたしは8歳です、もちろん観ておりませんです!
両監督にはまったく興味がありませんが、溝口健二といえば田中絹代。
絹代ファンのわたしとしては観ないわけにはまいりませぬ。
解説によるとこういうストーリー。

 新藤兼人が師と仰いだ巨匠・溝口健二監督。
 生前の溝口監督を知る39人がインタビューで監督への想いを語る。
 監督として人間としての溝口の深奥に迫ったドキメンタリー。

両監督には興味はありませんが、この39人にはかなり興味津々。
もちろん、まだ現役でご活躍の方もいらっしゃいますが、
出てくる方、出てくる方、ほとんどが既に鬼籍に入られています。
中でも、ア!っと声を出してしまうほど驚いたのは、
当時64歳の入江たか子サマ。
なんとなんと、そのお美しさは健在です。
しぐさ、話し方、表情、どれをとっても私の知っているたか子サマ。
目が思わずハァトになりながらうっとり眺めてしまいました。
そもそも溝口監督は、たか子サマの入江ぷろだくしょんに雇われていた身。
それをひがんだのか、戦後の作品「楊貴妃」で壁にぶつかった監督は、
たか子サマを降板させてウップンを晴らしたとか、巨匠の実像はコワイ。

溝口映画はほとんど観ていないと思っていましたが、
「滝の白糸」「浪華悲歌」「祇園の姉妹」という代表作は観ていました。
どれも私のお気に入りの作品、たか子サマは美しく、山田五十鈴はカワユイ!
あまりにも気の毒すぎておかしくなるほどの底辺の女性たちが、
健気に生きていく姿が、溝口監督サンはお好きだったようです。

戦後は、絹代サン抜きに語れないようです、私は観ていないけど。
進藤監督が田中絹代サンへインタビューしている場面は、ソウゼツ!
絹代サンに惚れ込んでいたのに告白できなかったシャイな溝口監督。
「監督は私個人ではなく演じている役の私を好きだった」と絹代サン。
真実はご本人のみぞ知る、、、。
絹代サンも、お若い頃と変わらず、あの口調、あの眉のひそめた表情、
やっぱりカワユイなぁ、、、。

溝口健二には、明治特有の“官尊民卑”の思想が残っていた、
と御大の川口松太郎が言っていました。
これこそが溝口健二の映画の根底にあるのではないかとふと思ったり。
練りに練って作り上げた場面を、一瞬のうちにこわしてしまい、
現場で台詞から全て変えてしまうという演出方法。
溝口映画の魅力に少しだけ触れることができたような気がします。

この映画で、サイレント時代の大スター、中野英治の71歳の姿を
拝見することができました。
旧法政で野球をしていたところを日活に入って役者となったという経歴、
女性ファンを熱狂させた二枚目で、不良だったという評判です。
この方が、71歳とは思えぬ格好良さで現れてビックリ!!
ただものではない、と思って色々調べてみましたら、
かの石津謙介が彼をお手本にしていたとか、
欧米の最新流行を研究して服をつくりまくり勘定は踏み倒したとか、
あの色川武大が、不良の大先輩と評したとか、
弟分はディック・ミネだったとか、ともかくスゴイ方でありました。
そして驚くべきは、あの英百合子サンと結婚していたという事実!
残念ながらその作品は拝見したことはありませんが、スゴイ、スゴイ。
いろいろと大収穫のある作品でした。

昭和50年/近代映画協会/監督・新藤兼人


 <5月31日追記>
 タイミング良くというか、なんと言うか、、、
 今朝のニュースで進藤監督の訃報を知りました。
 100歳という大往生ではありますが、63歳の監督を見た直後です。
 まだお若いのだと錯覚しておりました。
 というよりも、私の思う時代というのが、かなり昔なのだという事が
 改めて、今日、眼前につきつけられ、大きな衝撃だったのでした。
 1930年代、近いと思っていたけれど、案外近くもなかったような。
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by orochon3 | 2012-05-29 12:54 | 戦後映画 | Comments(0)

稲妻

久しぶりの戦後の映画ですが、まだカラーではありません。
そしてこれ、高峰秀子サンのために作ったような映画でありました。
1952年、秀子サンはおそらく28歳くらいでしょうか、溢れる聡明美。
成瀬巳喜男監督の秀子サンの映画、というと浮雲を思い浮かべますが、
これはそれより以前の作品なのですね。フムフム。

観終わってみると、秀子サン演じるところの主人公清子(きよこ)が、
周りの人達のグズグズぶりに反して、清々しくて、潔癖で、芯が強くて、
秀子サンご本人とだぶって仕方がありませんでした。
特にラストシーンは、お母さんの浦辺粂子と歩く後ろ姿に爽やかささえ感じます。
一作品として観て、感想はというと色々あったけど最後はなんだかスッキリ。
それからの続きも気になるけど、きっと清子は自分を貫いて行きて行くでしょう。
という、清々しい気持ちになりました。
これ、幸田文の原作だったかな、と思うくらいなのですが、
しかししかし、これは、なんと林芙美子原作。
確かに、清子以外の人々は、みんなグズグズで林芙美子ワールドの人達なのに、
主人公清子だけがなんだか借りてきたみたいに清く正しい。
うぅぅん。ちょっと違和感を抱かずにいられません。
原作は読んだことがありませんので、違いがとっても気になりました。
では、読んでみましょう、と探すも見つからず、調べてみると、
現在、普通の書店では取り扱いがないとのことでした。
しかも、原作が書かれたのは昭和11年!!
はやる心、ときめく胸。
昭和11年という文字を見ただけで、ワタシの心はおどります。
そして、とうとうとある古書店で昭和46年刊の新潮日本文学22、
「林芙美子集」を手に入れたのでした。
放浪記、稲妻、浮雲を収録!と大書きされた帯を見ると、
どれも秀子サン主演で映画化された作品ではありませんか。
こんなところにも、その影響はあったのでしょうか。

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昭和27年・大映/監督・成瀬巳喜男/原作・林芙美子
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by orochon3 | 2012-03-08 17:16 | 戦後映画 | Comments(2)

争う美人姉妹

タイトル通りの、そのまんまの映画です。
高杉早苗お姉さまとその妹に高峰秀子嬢。
どちらもたいへんお美しく、お品もよろしく、
二人が争う相手の上原謙氏もぴったり。
お姉さまがお家のために嫁ぐ金持ちに山村聡というのが、
おじいさん姿しか知らないワタクシにはビックリですが。

戦後の映画ですので、ツボにはまるところは
ほとんどありませんでした。
お話も、あんまり、入り込めるような内容でもなく。
原作は菊池寛。だけどあんまりドラマちっくでもなく。
うぅぅん、魅力は、争っている美人姉妹の美しさか・・・?
高杉早苗サンは、お歳がいって迫力ありますね。
上原謙を、横浜のホテルで誘惑する場面にはしびれました。
あのホテルの部屋はセットかも。無闇やたらに大きい部屋でしたが、
当時はあの大きさが標準だったのでしょうか。
推察するに、あの頃ホテルを利用する層というのは、
やっぱりある程度上の方々だったのでしょうね。
お部屋も大きくて。ブルジョワ〜な香りがします。

昭和25年/島耕二監督
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by orochon3 | 2006-09-10 22:55 | 戦後映画 | Comments(0)

安城家の舞踏会

“とのさま”“わかさま”と呼ばれる当主とその息子。
もと40何万石かの伯爵家がいま終焉を迎えようとしている夜、
破滅に向かうなか一人あらがい再生しようと健気な次女敦子(原節子)が、
最後の舞踏会を開こうと提案して始まるこの映画。
うぅぅん。なんだかつまらない。何故でせうか。

“とのさま”のお父さん、人に頭を下げた事がないなんて、
そんなの自慢にも何もならないのに!とムッとしたものの、
そうか!貴族ってこういうものなのね、感覚が違うのね。
貴族じゃないから庶民のワタシにはわからないのね。
そして次女敦子も、大局が見られず結局は自分のことが大事な哀しいこども。
自堕落な長男(森雅之)とプライドのかたまりの長女昭子(逢初夢子)が、
人間的にはいちばん魅力的なのであります。

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確かに原節子サンは、
今まで観てきたどの節子サンより美しく、
うっとり見とれてしまいそうになってしまって、
この節子サンの美しさを観るだけでも
この映画の価値がありそうなくらい。
でも、次女敦子(お姉さまからは“あっちゃま”と呼ばれている!)からは、
残念ながら貴族の娘という気高さとか優雅さが感じられない。
お茶を持ってきてお辞儀をするしぐさも、
さぁ皆さんどうぞと招き入れるしぐさも、
普通のお嬢さんと同じで、気品がありませぬ。がっかり。
確かに、大金の入った鞄を抱えて、成金男に向かって
憎らしげに微笑んだその顔は、
背筋が凍り付きそうなくらいに美しかったのだけれども。
(これはラストシーンの爽やかな笑顔)

そういう点では、もうだんぜん昭子(夢子さん)であります!
冒頭の着物姿にはサスガ!の気品があり、舞踏会でのイブニングドレス姿は、
戦前のクラスのある女性特有のファッション(スタイルは良くないけど)が優雅。
気高い雰囲気が全身からあふれ、そこから堕ちてゆく悲哀が感じられる。
低く少しハスキィな声も粋で、怒りのあまりにシャンパンを鏡にかける姿は格好いい。
元運転手に言い寄られる事を何よりも屈辱と思い、彼にもう貴族制はなくなりますよ、
と言われれば、貴族はなくなっても「昭子の心は貴族よ」と悲しみと怒りに燃えた目で
元運転手君をにらみつける。これこそが貴族なのね。気高さなのね。
でも、そんな昭子が、元運転手君の真心を知り、彼の淋しさや苦しみを知り、
すべてをかなぐり捨てて(ドレスのまま砂山を転がりおちたりして)
砂浜に去っていく彼を、追っていくのであります。
その様は、まるで『モロッコ』で観たディートリッヒのようで、美しく力強く、そして気高い。
元運転手君と長女昭子との物語に重点をおいて作ってみたら、
また違ったおもしろいものができたのではないかと・・・。
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それにしても、戦前の伯爵家内部を露呈するこの映画を
戦後間もない庶民の方々はどんな風に思って観たのでせう。
60年近く経って観た庶民のワタクシは、今さらながら、
こういう社会が実在していたことに驚いていたのでありました。
こういうのは、小説や映画の中のものだと、今だ思っているところがあったのね。

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おまけ。
長男の事が好きで好きでたまらない女中のキクさん。
女中さんでも二重太鼓なんですねぇ!
貴族の家の女中さんだから?



昭和22年・松竹(大船撮影所)/監督・吉村公三郎
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by orochon3 | 2006-03-29 08:52 | 戦後映画 | Comments(0)

女性の勝利

山岡さんが徳大寺伸だったなんて!
気が付かなかった。ああ不覚。

女性への啓蒙映画。
古い女性対新しい女性の図式。古い体勢対新しい体勢の図式。
現代の私から観るとなんとも微妙・・・。
でも、当時の女性達は快哉を叫んでこれを観たのでせうか???
それとも、進駐軍の占領政策にのせられただけ???

何度も繰り返される台詞。
「自分の足で、自分一人で立てる人が世界一立派な人」
「自分の足でお立ちなさい」
「私の受けた教育は間違っていたと気づいた」
「女の権利が必要」等々々々々。

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絹代さんは、法廷で熱弁をふるい、肺病の恋人を支え、
女ばかりになった家族を支え、女学校時代の友を支える
八面六臂の大活躍の大熱演。
相変わらずのちいちゃな身体で懸命に生きている。
おしゃれなハイヒールがとってもお似合いです!






古い女代表の三浦光子と桑野通子。
新しい女代表の風見章子と絹代さん。
どっちかというと、イメージ的には反対なんだけどなぁ。
「新女性問答」で魅せられたミッチーの印象が強すぎるのだ。
ミッチーに眉間のシワは似合わない。「向日葵娘」のミッチーが、
一番彼女らしかった。そいういう彼女の魅力を引き出す映画を観たい。

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被告人である三浦光子サン。

半幅帯を貝の口に結んでます。
被告人は法廷と言えどもお太鼓じゃないんだ。







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良家に嫁いでるミッチーは、立派なお着物をお召し。
お太鼓のタレ、かいきり線がズバっと見えてる。
昔は見せる風潮だったようで、普通だったんだろうけど、
今の感覚で見ると、
違和感があるのよぅーひっこめたくなるのよぅ。
こういうところが私はまだまだダメなんだ。




昭和21年4月に完成したこの映画。
「敗戦国」という言葉が出てくるけど、そうだ、日本は敗戦国だったのだ。
つい60年前のことなのよね。

火鉢っていいなぁ。
おつゆを温めたり、お湯をわかしたり、魚を焼いたり、暖まったり。
火鉢を囲んで会話が生まれて。

病室で、電話をつないでくれた看護婦さんに、お礼を言う絹代サンの台詞。
「おそれいりました」美しくてすてきな日本語!

昭和21年・松竹大船/監督・溝口健二
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by orochon3 | 2006-03-14 08:28 | 戦後映画 | Comments(0)

三丁目の夕日

ようやく観てきました!・・・疲れました。泣きすぎ。
ヒーヒーいって泣いてしまいました。
どこから泣き始めたのか忘れるくらい、どの場面で泣いていたのかすらも。
終わったあとも、泣きすぎて、最後どんなんだったか忘れてしまうほど。
いったい何しに行ったのか・・・

高校生の頃から、マンガの大ファンで、本棚には一巻からあって、
現在もビッコミ・オリジナルで愛読中。
贔屓は、みっちゃん、ヒロミ、ともえさんの順番です。
マンガに思い入れがありすぎて、映画にはちょっと不安感がありました。
以前アニメ化失敗という過去もあることだし、まして今回は実写だし。
ところが、ところが!
思っていたよりもうーんと良かったです。ホント観て良かったです。
マンガとは別のものとして、たいへん良い映画でした。

ベティさん似のヒロミが好きなので、小雪さんじゃあなぁ〜と不服だったし、
茶川は個人的にあまり好きじゃない上にあの役者さんも×××で、
淳之介絡みのイイ話が多いのに、もったいないなぁと心配してましたが、
あの設定ならば、良いかな、と。

六さんが女の子?!と観る前に一番心配していた件についても、大納得。
あのスジになるのなら、六チャンでもイイ!というか、男じゃダメだし、
ほんとはスパルタ教育さえできない優しいお父さんが暴力的な設定も、
なんだか許せるのでした。ともえさんはイメージ通りネ。
六チャンになった女の子、かわいいし、良かったです。
みんなでテレビを観る場面で、彼女が、ワンピースのベルトにハンカチを
はさんでましたねぇー。なつかしい!やってたよねー。
テレビの場面は大げさだったけど、見所満載でした。
鈴木オートがスーツ姿だったり、一平までいい服を着て横分けにしていたり。

そういえば最近、普段着とよそゆきの差があまりなくなったように思います。
お芝居に行ったり、お食事に行ったり、百貨店に行くのにでも、
普段とあまり変わらない服装で行く人が多いような。
私個人としては、そういう場所へはかなりよそゆき度が高い格好で行くので、
昔人間なのかなぁ・・・・と、ふとそんなトコロで気になったりしたのでした。

和服美人のお富さんが切り盛りする小さな店、居酒屋やまふじが、
小雪版ヒロミの店として出ていたのはやっぱりちょっと違和感あったけど、
焼き鳥や煮物をつまんで、イッパイやりに行きたいものです。
そういえば、マンガにも出てきましたが、昔は電灯が暗かったんですね、
今よりずっと。やまふじもそうですが、特に居酒屋なんかの飲食店の灯りが
今は明るすぎる。ちょっと暗めの方が風情があるのだ!と実感致しました。

違和感といえば、煙草屋のオバアチャンに洋服は似合わない〜!!
着物着て、襟元に手ぬぐいをかけて、猫背でコーラ飲んで欲しいワ。
ちゃんとダイアナ歌ってくれてたのには感激したけど♪

まるでアニメのサザエさんを見てるように、元ネタがわかって、
それを思い出しながら楽しみましたが、唯一、知らない、というか、
元ネタのない、ラストの六チャンのお母さんからの手紙の場面には、
号泣、号泣、号泣。どれだけ泣くか?というくらい泣けました!

街並み、もっと細々とゆっくり撮して欲しかったですねーもったいない。
そんでもって、車があんまりにも少ないのに驚きました。
昔ってあんなんだったのね。

追補:帰りは、やまふじならぬ馴染みの焼鳥屋でイッパイ、やりました。
小学生の頃からの行きつけの鳥光です。
去年リニューアルして明るくなってしまいました。残念!
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by orochon3 | 2006-01-24 08:28 | 戦後映画 | Comments(2)

晩菊

うまいなぁ。ほれぼれする。
杉村春子、細川ちか子、望月優子、そして沢村貞子。
こういうのを観てしまうと、ほかのものなど観られやしない。
困ったものでありますね。これでは誰もかなわない。

山田五十鈴主演の幸田文「流れる」と双璧ではないでしょうか。
でもやっぱり私は林芙美子の方が好き。
こっちの「晩菊」の方が好き。
どこが違うのでしょう。
それは優等生と劣等生の違いのような・・・
いえ、お勉強ができる、できないという意味ではなく、
生きていく上で、ちゃんとできる優等生と、
上手にできずダメで、しかもそれを取り繕わない劣等生。
人間的な魅力は、そんな劣等生に軍配があがるのではないか、と。

中でも一番かわい気のある望月優子。
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彼女と細川ちか子が火鉢をはさんでお酒を飲み明かす場面。
この映画の中で一番気に入りましたね!お気に入りです。

二人とも子供のことで寂しい思いをしている。
そんな寂しさをまぎらすように、湯飲みで冷やをグビグビ飲ります。
観てるこちらも酔っぱらってきそうなほど、二人は酔います。
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言いたい事を言い合って、いつしか布団にもぐりこみ、
夜中に寝ぼけてトイレを間違え、火鉢の冷えたお湯を飲んで。
そう、だらしない、のです、彼女たちは。
「流れる」の芸者さん達も、別段きちんとしているわけじゃない、
だけど、「晩菊」の方は元・芸者であるという事を差し引いても、だらしない。
でもそこが人間らしくてイイのであります。
「流れる」の中に流れるキリキリとしたピンとはった空気は、
こちら「晩菊」では、よどんでマーブル模様のようになっているみたい。

杉村春子。
昔の男(にやけて老けたダメ上原謙!)が訪ねてきて、色めき立って酒席の準備をしている時、
彼女の甲高い声とちょっとつきでた下唇が、あ、色っぽいな、と。
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お金、お金、とガリガリしてたって、こういう“だらしない”部分は残っていて、
彼女もやっぱり“林芙美子”なのですねェ。
こういうところがたまらないのです、林芙美子ファンとしては。

サービスショットはお風呂屋さんから出てきた杉村春子。ノレン無しのあっさりした建物。
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そして、街の風景。こういうのを観ると、胸がさわぎ切なく泣きたくなります。
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昭和29年・東宝/監督・成瀬巳喜男
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by orochon3 | 2005-12-21 08:14 | 戦後映画 | Comments(1)

流れる

原作は幸田文。大好きな作品です。
彼女の文章はきりきりと張りつめていて、すっきりしていて心地良い。
心にキリリとつきささる。そんなところが好きなのでしょう。
そして、その原作をこれ以上ないというくらい素晴らしい配役で
ていねいにこしらえられたこの映画は、もう文句なし。
ワタクシごときが何か言えるような作品ではございませぬ。恐れ多くて。

ところで映画を観る時に、この作品だから観る、というのと、
この役者さんが出てるから観る、というのと、
どちらが多いかというとワタシの場合は圧倒的に後者が多いです。
(それと製作年代もだけど・・・)
例えば、田中絹代が観たいから、逢初夢子が観たいから、観るっていうのが七割くらい。
その点からいうと、この映画は、すごいです。
因縁とも言うべき田中絹代と山田五十鈴の二枚看板。
そこへ杉村春子、高峰秀子、岡田茉莉子等々が周囲をかため、
御大栗島すみ子がデデーンと圧倒的な存在感と共に登場なさって・・・。
男優はほとんど出てきません。そんなもの、いりません。
日本映画界が誇る「映画女優」という方々を堪能するのみです。

栗島すみ子サンは今作で18年振りに映画に登場されたんだそうです。
成瀬監督に請われてカムバックしたんだそうですがよくわかります。
この「水野の女将・おはま」には彼女以外考えられないほどぴったり。
というか、原作を読んでいても、怖くて偉そうで、でも表面にはそういうところを
見せず親切そうにしている、だけど本当はやっぱり怖いひと・・・
というこの水野の女将像がよくつかめなかったのに、
栗島サン演ずる水野の女将は、とてもよくわかった!のでした。すごい、すごい。
表情やなんかは穏和で物言いも穏やか、でも貫禄、威厳、恐怖、そういうものを
すべて持っている、コワーイ女将がこの物語のキーです。

山田五十鈴、田中絹代、両名のカワイサも随所に観られるし、
高峰秀子の無愛想さや岡田茉莉子の若さも楽しめるし、
染香という年増芸者の杉村春子が素晴らしい!です。
芸達者という言葉が浮かんできました。

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昭和31年・監督・成瀬巳喜男/東宝
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by orochon3 | 2005-09-23 08:34 | 戦後映画 | Comments(0)

おかあさん

すがすがしくて、なつかしくて、ちょっとしんどい映画。
昭和26年って、まだまだ日本は貧しかったのね。
家の中にはなーんにもありません。来客の時にうすーいお座布を出すだけ。
それでもなんだか明るくて幸福そう。
そういうのを狙った演出なのかもしれませんが、
若い人たちはどんどんのびやかになっていってて、愉快ではあります。
ただ、逆にそういうところが辛かったりもする複雑な映画でした。

お母さん。カアチャン。
田中絹代サンはやっぱりいいなぁ。かわいくてたまらない。
映画の中では推定40才くらいでしょうか。それでもかわいい。
きちんと老けていってるのに、ふとした表情や言い回しに
ちゃんと「田中絹代」がいる。すごいひと。

出てくる人たちみんな貧しいけど正しくて、まっすぐ。
こんな人がまだいるんだろうか、まず自分はどうだろう?
とうていこんな風にはなれっこありませぇん。

それにしても、この娘は18才にもなるのに幼いですねェ。
カアチャン、カアチャン、と言ってお母さんの幸福を考えているようで
実はかなり利己的な風を受けました。好きになれないひと。
でも、そういう娘に育てたのはカアチャンなのだから、なんだか・・・。
息子が死んで、夫が死んで、次女が貰われていって、
残った長女が彼女じゃあ、なんだかやりきれないんですけど。
それでも可愛い娘なのでしょう。香川京子さん、清純で美しい!

サービスカットはやっぱり台所。
経済だからとお米よりうどんばかり食べる一家。
娘の京子さんがうどんを茹でています。
不衛生そうな台所も当時は普通なのでしょう。
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父チャンの葬儀はモチロン自宅でとり行われました。
ご近所さんや親戚が集まって、台所では女たちが海苔巻きを作っています。
表の哀しみの様子から一転、彼女たちは先立たれた方が不幸だとか、
干瓢が足りるだろうか、とか、足りさせちゃおう、とか、そんなことを
お喋りしながら海苔巻きを巻くのです。後ろでチビが海苔巻きをつまんで、
大人の会話を聞いていて。私はこういう場面が大好き!
こういうバックスペースには、なんだかほっとする雰囲気がありますね。

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そしてキモノ。
絹代母チャンは、夏はあっぱっぱ。その他はキモノです。
父チャンがクリーニング店を開店させた時には、きちんとお太鼓に結び、
子供を寝かしつけているような普段の時には半幅をラフに。
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昭和26年/新東宝/監督・成瀬巳喜男 
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by orochon3 | 2005-09-11 22:39 | 戦後映画 | Comments(0)


主に戦前邦画と、思い切り偏った読書の感想などなど。近頃はもっぱらお酒ばかりで スミマセン。


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