新藤兼人監督の作った、故溝口健二を追うドキュメンタリー映画。
1975年の作品、わたしは8歳です、もちろん観ておりませんです!
両監督にはまったく興味がありませんが、溝口健二といえば田中絹代。
絹代ファンのわたしとしては観ないわけにはまいりませぬ。
解説によるとこういうストーリー。

 新藤兼人が師と仰いだ巨匠・溝口健二監督。
 生前の溝口監督を知る39人がインタビューで監督への想いを語る。
 監督として人間としての溝口の深奥に迫ったドキメンタリー。

両監督には興味はありませんが、この39人にはかなり興味津々。
もちろん、まだ現役でご活躍の方もいらっしゃいますが、
出てくる方、出てくる方、ほとんどが既に鬼籍に入られています。
中でも、ア!っと声を出してしまうほど驚いたのは、
当時64歳の入江たか子サマ。
なんとなんと、そのお美しさは健在です。
しぐさ、話し方、表情、どれをとっても私の知っているたか子サマ。
目が思わずハァトになりながらうっとり眺めてしまいました。
そもそも溝口監督は、たか子サマの入江ぷろだくしょんに雇われていた身。
それをひがんだのか、戦後の作品「楊貴妃」で壁にぶつかった監督は、
たか子サマを降板させてウップンを晴らしたとか、巨匠の実像はコワイ。

溝口映画はほとんど観ていないと思っていましたが、
「滝の白糸」「浪華悲歌」「祇園の姉妹」という代表作は観ていました。
どれも私のお気に入りの作品、たか子サマは美しく、山田五十鈴はカワユイ!
あまりにも気の毒すぎておかしくなるほどの底辺の女性たちが、
健気に生きていく姿が、溝口監督サンはお好きだったようです。

戦後は、絹代サン抜きに語れないようです、私は観ていないけど。
進藤監督が田中絹代サンへインタビューしている場面は、ソウゼツ!
絹代サンに惚れ込んでいたのに告白できなかったシャイな溝口監督。
「監督は私個人ではなく演じている役の私を好きだった」と絹代サン。
真実はご本人のみぞ知る、、、。
絹代サンも、お若い頃と変わらず、あの口調、あの眉のひそめた表情、
やっぱりカワユイなぁ、、、。

溝口健二には、明治特有の“官尊民卑”の思想が残っていた、
と御大の川口松太郎が言っていました。
これこそが溝口健二の映画の根底にあるのではないかとふと思ったり。
練りに練って作り上げた場面を、一瞬のうちにこわしてしまい、
現場で台詞から全て変えてしまうという演出方法。
溝口映画の魅力に少しだけ触れることができたような気がします。

この映画で、サイレント時代の大スター、中野英治の71歳の姿を
拝見することができました。
旧法政で野球をしていたところを日活に入って役者となったという経歴、
女性ファンを熱狂させた二枚目で、不良だったという評判です。
この方が、71歳とは思えぬ格好良さで現れてビックリ!!
ただものではない、と思って色々調べてみましたら、
かの石津謙介が彼をお手本にしていたとか、
欧米の最新流行を研究して服をつくりまくり勘定は踏み倒したとか、
あの色川武大が、不良の大先輩と評したとか、
弟分はディック・ミネだったとか、ともかくスゴイ方でありました。
そして驚くべきは、あの英百合子サンと結婚していたという事実!
残念ながらその作品は拝見したことはありませんが、スゴイ、スゴイ。
いろいろと大収穫のある作品でした。

昭和50年/近代映画協会/監督・新藤兼人


 <5月31日追記>
 タイミング良くというか、なんと言うか、、、
 今朝のニュースで進藤監督の訃報を知りました。
 100歳という大往生ではありますが、63歳の監督を見た直後です。
 まだお若いのだと錯覚しておりました。
 というよりも、私の思う時代というのが、かなり昔なのだという事が
 改めて、今日、眼前につきつけられ、大きな衝撃だったのでした。
 1930年代、近いと思っていたけれど、案外近くもなかったような。
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by orochon3 | 2012-05-29 12:54 | 戦後映画 | Comments(0)

まずはいきなり“入江たか子の”というクレジットが入ります。
“ヴィヴィアン・リー イン”というのと同じでしょうか。
入江たか子による入江たか子の為の入江たか子の映画です。
確かに美しいですが全編通して和装なのが気に入らない。
お金持ちの奥様役を入江たか子がした方がずっとしっくりきたと
観ている間中思っておりました!
あらすじはコチラに詳しいです。すごく細かい!
吉屋信子サン原作なので全編台詞が美しく、ストーリィや結末も、
ありがちな感じではありますが、細かなディテイルが嬉しいです。

そんなワタクシ的ツボ。
高田稔のお屋敷、食堂へ颯爽と洋食のスープを運ぶたか子さまと
女中の椿澄江嬢。この方はカワユイ!
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応接室から食堂へ入って来たところ。
この壁の模様が東宝っぽくて吉屋信子っぽくてイイですね!
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高田稔邸の洋食の食卓風景。ゴゥジャスです。
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たか子嬢と藤田進夫妻の家の食卓。一般的です。
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そしてサービスショット!
高田稔氏の寝姿。パジャマでベッドで就寝中。起きたらガウンを着ますのよ!
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昭和15年/東宝映画/監督・田村道美/脚本・東坊城恭長/原作・吉屋信子
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by orochon3 | 2011-07-03 08:17 | 戦前東宝 | Comments(0)