「中原中也との愛 ゆきてかへらぬ」長谷川泰子

久しぶりにゆっくり本を読む時間がありました。
でも、おもしろくてあっという間に読んでしまいました。

数年前にTVドラマで中原中也を三上博が演じていましたが、
そのドラマの中で印象深かったのは中也ではなく、
樋口可南子が演じた中也が愛していた女性のほう!
ボブヘアのその女性は神経症で激しく、こわい。
そしてその女性が、この長谷川泰子だったのでした。

「グレタ・ガルボに似たをんな」となり、銀幕にも出て、
多くの作家や芸術家、文化人たちとわたりあっていて、
私生児を産み、玉の輿にものり、最後は独りで死んでしまった!
このひと、いったいどういうひと?と思うけれど、
彼女が語った言葉の全てを信じることはできないけれど、
関わらずにすむならば、という前提付きで、おもしろい人です。

昭和の初めの京都と東京で、彼らがどんな風に暮らしていたのか、
いきいきとした描写で細かなことがよくわかって楽しい1冊でもあります。
東中野の谷戸の文化村と呼んでいたところは、
6畳1間と玄関に1畳のお勝手付きという同じ間取りの家が5、6軒。
のらくろの高見沢路直もここに住んでいて、、、とか。
新宿の下落合にいた村山知義や堀野正雄が前衛映画を撮ろうとしていた頃、
世の中はモダンばやりで恋愛もおおっぴらだった、、、とか。
独り暮らしの泰子が、朝起きて電車で新宿へ出ては、
駅の近くの「中村屋」でトーストとか中華饅頭で腹ごしらえした、、、とか。
夜の新橋のプラットフォームで、ほろ酔いの泰子が、
「夜のしらべ」を歌った、、、とか。とか。とか。

昭和6年頃「婦人画報」に掲載された堀野が撮った泰子の写真に
堀野自身が添えた文章がとてもうまいと思いました。
『彼女は貧民窟の飲屋に行っても、帝国ホテルの晩餐会にのぞんでも、
周囲に少しも不調和を与えません』
つまり、こういうひとだったのですね。
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by orochon3 | 2008-06-20 23:36 | | Comments(0)


主に戦前邦画と、思い切り偏った読書の感想などなど。近頃はもっぱらお酒ばかりで スミマセン。


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